あめやガムに含まれ、スーパーマーケットなどでよく目にするキシリトール。
歯にいいって聞くけど、なぜ歯にいいのでしょうか?
まず、キシリトールは天然の甘味料です。
シラカバやカシの木からとれる成分が原料で、おもにフィンランドで生産されています。私たちがよく食べる、いちごやほうれん草にも含まれるそう。
どのくらい甘いのか、ショ糖(砂糖の主成分)と比較してみた図がこちらです。
なんとショ糖と同じ甘さ! 他の甘味料と比べると、一目瞭然ですね。
こんな甘い素材が、なぜ歯にいいのかというと…
キシリトールには、ミュータンス菌を弱らせる力があるから!
むし歯の原因のひとつは、お口の中のミュータンス菌です。キシリトールはこのミュータンス菌に直接作用! むし歯の原因そのものを弱らせるのです。
むし歯を予防するには、歯ブラシなどの道具で細菌を取り除くことが基本。そこにキシリトールをプラスすれば、さらなる予防効果が期待できますね♪
悪玉ミュータンス菌がキシリトールを食べると……?
キシリトールはミュータンス菌に直接働きかけることができると学びました。では、具体的にどう働きかけるのか見ていきましょう!
そもそも、ミュータンス菌には悪玉ミュータンス菌とむし歯の原因になりにくい善玉ミュータンス菌がいます。
問題なのはもちろん、悪玉のほう!
悪玉ミュータンス菌は「糖分」を菌体内に取り入れて代謝し、「酸」や「不溶性グルカン」をつくりだします。
人間がご飯を食べて、オシッコやウンチを出すのと同じですね。
ここでうみだされた酸が歯を溶かし、ネバネバの不溶性グルカンに細菌が集まってプラークがつくられる。このプラークにまた悪玉ミュータンス菌が住み、酸を出していく……。これが、むし歯のはじまりです。
では、悪玉ミュータンス菌がエサにするのが、糖分ではなく「キシリトール」だった場合はどうなるのでしょうか?
悪玉ミュータンス菌は、糖分と分子構造が似たキシリトールも菌体内に取りこみます。
しかし、ここで問題発生。
悪玉ミュータンス菌がキシリトールを食べても消化できないのです!
人間が自分の身体に合わないものを食べたとき、消化できずに吐き出してしまうのと同じですね。消化できないので、もちろんエネルギーに変えることもできません。
人間であれば、身体に合わないものを食べてしまった後、その食べ物を口にしないよう気をつけますよね。しかし、悪玉ミュータンス菌は違います。「キシリトールを消化できないこと」を忘れて、またキシリトールを取り込んでしまうのです!
しかし、当然ですが消化できないのでまた吐き出されます。もちろんエネルギーも生み出せません。つまり、キシリトールを摂っても酸は出ない!
そしてキシリトールを取りれても取り入れてもエネルギーを生み出せない悪玉ミュータンス菌。消化しようとすることでエネルギーを消費する一方、まったくエネルギーを生産できないためどんどん弱っていきます。
弱った悪玉ミュータンス菌は簡単に歯ブラシで落とせるので、どんどんお口の中からいなくなっていき、空いた場所には善玉ミュータンス菌がやってきます。
キシリトールを取り続けて数ヶ月で、お口の中は善玉ミュータンス菌が優勢に!
善玉ミュータンス菌は、ネバネバした不溶性グルカンをほとんど出しません。なので、プラークの質もサラサラしたものに変化。セルフケアしやすいお口になるのです。
キシリトールを選ぶ前におさえておきたい2つのポイント
摂り続けると、お口の中の悪玉ミュータンス菌を弱め、善玉ミュータンス菌を優勢にすることができるキシリトール。 ガムやアメ、チョコレートなどたくさんの関連商品がありますが、“キシリトール”と書かれていれば何でもよいというわけではないんです。
ポイント①
甘味料の100%を占めている
キシリトールは、1日の合計量として5-10g摂るとむし歯予防に効果的だとわかっています。製品によって濃度は様々ですが、濃度が高ければ高いほど効率的に摂取できる ということですね。
1番良いのは、もちろん甘味料の100%がキシリトールのもの。最低でも50%は必要です。濃度が表示されていない場合は、栄養成分を確認し「炭水化物とキシリトールの分量が限りなく近い」 ものを選びましょう。(濃度の計算式:キシリトール÷炭水化物×100)
ポイント②
糖類はゼロを!
もしキシリトール以外の甘味料も含まれる場合は、むし歯の原因となる糖類はもちろんゼロなものを選びましょう。「酸をつくりにくいもの」(ソルビトール、マルチトール、マンニトールなど)だと安心です。
キシリトールの本場であるフィンランドの歯科医師会も、キシリトール製品の推薦条件として「濃度」「酸をつくりにくいもの」を掲げています。成分は各製品のパッケージなどに書かれています。今後選ぶ際の参考にしてみてくださいね!
tuft clubより引用